熱海

起雲閣~熱海市指定有形文化財~

きうんかく
電話/0557-86-3101
料金/大人510円、高校生・中学生300円、小学生以下無料(20人以上は団体割引あり)
営業/9:00~17:00(入館は16:30まで)※喫茶は16:00まで
定休日/水曜日(祝祭日の場合は開館)
住所/静岡県熱海市昭和町4-2
アクセス/熱海駅より相の原団地・笹良ヶ台循環行きバス「起雲閣前」下車すぐ
駐車場/37台
管理・運営/NPO法人あたみオアシス21

 

 

熱海の別荘文化を象徴する近代建築

熱海駅から徒歩20分ほどの場所にある大正8年(1919)に別荘として建てられた名建築。現在では熱海市指定有形文化財として一般公開され、大正ロマン感じるその姿は熱海の別荘文化の優雅さを今に伝えています。熱海駅周辺の賑わいから離れ、ここが街中だと思えない広い敷地に大きな庭を囲むようにして建物が連なっています。

 

 

起雲閣ストーリー~別荘から文化財へ~

起雲閣は政財界で活躍し、”海運王”と呼ばれた実業家・内田信也により大正8年(1919)に純和風の別荘として建てられました。その後、大正14年(1925)に”鉄道王”と呼ばれた根津嘉一郎(ねづかいちろう)が二代目の所有者として敷地を買い広げ2棟を増築。昭和22年(1947)には石川県能登出身の実業家・桜井兵五郎が敷地・建物を買取り、旅館『起雲閣』を開業しました。しかし、平成11年(1999)に旅館が廃業となり、3000坪もある「起雲閣」は競売にかけられてしまいました。そこで立ち上がったのが『起雲閣』を愛する市民たち。次から次に出てくる問題もなんとかクリアし、現在はその時の市民たちで作り上げたNPO法人が指定管理者として委託を受け管理運営しています。写真の女性は管理者代表の中島美江さん(NPO法人あたみオアシス21代表、起雲閣館長)。ちなみにスタッフの方々は、館内の案内役としても活躍してくれています。

 

 

純和風の麒麟と大鳳

起雲閣の受付を入ってすぐの本館部分は純和風の建物となります。こちらは政財界で活躍し、”海運王”と呼ばれた内田信也により大正8年(1919)に建てられました。一階部分は「麒麟(きりん)」と名づけられた間で、壁には真っ青な群青壁が用いられています。二階の部分は「大鳳(たいほう)」と名づけられていますが、文豪・太宰治が昭和23年(1948)の3月7日から31日にかけて、今は取り壊されている別館にて『人間失格』の「第二の手記」までを執筆、大鳳には亡くなる3ヶ月前に2泊しています。

 

 

根津氏により建てられた洋館

根津嘉一郎により昭和7年(1932)に増築された洋館。2つの間があり、日本の神社や寺に見られるような建築的特徴や中国的装飾が施された「玉姫(たまひめ)」と中世英国のチューダー様式を用い、サンスクリット語の装飾をあしらったり、暖炉は"日本の床の間"的要素を取り入れた「玉渓(ぎょっけい)」があります。また、天井がステンドグラスで埋め尽くされたサンルームは明るく、床にはモザイクタイルが敷き詰められ、モダンな雰囲気を醸しだしています。

 

 

迎賓の間とローマ風浴室

根津嘉一郎が所有することになってから初めての増築部「金剛(こんごう)」。昭和4年(1929)に建てられた洋館で、迎賓のための空間と広々とした浴室があります。迎賓室はアールデコ調の装飾と石造りの暖炉がかつての栄華を今に伝えています。浴室はローマ風でステンドグラス窓、テラコッタ製のカラン(湯出し口)、換気口金物は当時のもの。天井や壁は現在の材料で改装されていますが、往時の雰囲気を伝えています。なお、平成元年(1989)の道路拡幅工事に伴い、この浴室は90度向きが変えられて今に至ります。

 

 

旧客室の文豪展示

昭和22年(1947)に旅館として生まれ変わった後、起雲閣は熱海を代表する宿として数多くの宿泊客を迎えました。山本有三、志賀直哉、谷崎潤一郎、太宰治、舟橋聖一、武田泰淳など、日本を代表する文豪たちに愛されました。現在、宿泊室として使用されていた部屋を展示室として利用し、前述の文豪をはじめ、尾崎紅葉や三島由紀夫などが紹介されています。3人の男性が映った写真は展示パネルを撮影したもの。昭和23年3月15日に撮影されたもので右から谷崎潤一郎、志賀直哉、山本有三が映る貴重な写真です。

 

 

喫茶やすらぎで余韻を楽しむ

館内を一周すると最後に到着する喫茶室。庭園にも面しているので、庭を眺めながらくつろぐことができます。メニューには熱海名物のみかん・橙(だいだい)をのジャムを使用した「熱海紅茶(450円)」や起雲閣オリジナルのブレンドコーヒー(450円)などがあります。

 

 

立体的な芝生の庭

建物が囲む緑豊かな庭は根津嘉一郎が所有者になってから今のように整えられました。茶人としても知られた根津氏は自らが指揮し、中央にある約20トンもある巨石を20人の庭師に2ヶ月をかけて運んだとされています。立体的な造形の庭は周遊すると眺めが変わり、四季によっても色が変化を楽しめます。なお、こちらの庭は館内を巡った後、靴を履いてから周ってください。

 

 

細部の美しさ

こだわりの多い建物だけに、細部には職人の技が光ります。そこかしこにその技を感じますので、細かいところまでご覧ください。

 

 

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